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Anki の使い方

Anki のデッキを階層にする方法——サブデッキはどこまで分けるべきか

Anki でデッキが増えてくると、「科目ごとにまとめたい」「親デッキの下に並べたい」と思う時期が来ます。

結論から書くと、デッキ名に ::(半角のコロン2つ)を入れれば、デッキは階層(サブデッキ)にできます。ただし Anki の公式マニュアルは、デッキを細かく分けすぎないよう勧めています。この記事では、まず階層の作り方を示し、次に「どこまで分けるか」「親デッキで学習したとき何枚出るか」「何段にするか」を確認します。

後半は、同じ仕組み(フォルダの入れ子)を実装したときに、階層を2段で止めた理由です。

Anki でデッキを階層にする手順

階層はデッキ名に :: を入れるだけで作れます。英語::単語 という名前のデッキは、「英語」デッキの中にある「単語」デッキになります(公式マニュアル “Decks”)。

パソコン(Anki デスクトップ)

  1. デッキ一覧で、デッキの右にある歯車のボタンから Rename を選ぶ(公式マニュアル “Studying”)
  2. 名前を 親デッキ::子デッキ の形に変える

デッキ一覧で、デッキを別のデッキの上へドラッグ&ドロップしても同じ結果になります。

iPhone(AnkiMobile)

  1. デッキ一覧で、デッキを右から左へスワイプする。ボタンが出てくる(AnkiMobile マニュアル “Deck List”)
  2. Rename を選び、名前を 親デッキ::子デッキ の形に変える

⚠️ Android の AnkiDroid は別のアプリで、画面の作りも異なります。:: で階層になる規則は共通です。

デッキは名前の文字順に並びます。公式マニュアルの例では、My Deck 10 が My Deck 9 より前に来ます。01 単語・02 熟語 のように桁をそろえて番号を付けると、並び順を決められます。

作る前に:公式は「デッキを細かく分けない」よう勧めている

手順は簡単ですが、作り始める前に知っておいてほしいことがあります。Anki の公式マニュアルは、デッキを細かく分けることを勧めていません。

公式の書き方はこうです。デッキは「広い分類」に使うもので、「食べ物の動詞」や「レッスン1」のような細かい単位には使わない方がよい(原文は “food verbs” / “lesson 1”。公式マニュアル “Decks”)。理由として、別の章で2つを挙げ、代わりの方法も勧めています(公式マニュアル “Using Decks Appropriately”)。

  1. 小さなデッキがたくさんあると、カードを見当のつく順番で見ることになりやすい
  2. デッキが数百になると動作が遅くなりうる(以前のバージョンほどではない)。Anki 2.1.50 より前では、数千の項目を持つデッキの木で一覧の表示が壊れることもあった

そのうえで、分類はデッキを増やすのではなく、タグやフィールドで持つ方がよいと勧めています。

🔑 いちばん効くのは1つ目の理由です。 たとえば「レッスン3」だけのデッキを回すと、前後に出てくるのは同じレッスンの単語ばかりになります。そうすると、単語そのものを覚えていなくても「このレッスンのこのあたり」という文脈で答えが浮かぶようになります。デッキの中では覚えているのに、試験で別の順番に並ぶと出てこない、という状態です。手がかりがあると答えられるのに自力では出てこない、という点で、選択肢で解けるのに書けないのと同じ構造です。

「50問ずつデッキに分けると続けやすい」という運用を紹介している記事もありますが、公式の推奨とは逆向きです。続けやすさの問題は、デッキを割るより1日に入れる新規カードの枚数で調整する方が、覚え方を崩しません。すでに復習が溜まってしまっているなら、デッキの分け方より溜まった復習の立て直しの方が先です。

親デッキで学習すると、何枚出てくるのか

階層を作る人の多くは、親デッキを選んで、中のデッキをまとめて学習する使い方を考えているはずです。ここで迷うのが、新規カードや復習の上限がどう組み合わさるかです。

公式マニュアルの説明は次のとおりです(公式マニュアル “Deck Options”)。

新規カードの上限で、具体的に計算するとこうなります。

設定親デッキを選んで学習したとき
親 20枚/子A 10枚/子B 10枚子Aから最大10枚・子Bから最大10枚で、合計20枚
親 15枚/子A 10枚/子B 10枚子それぞれ最大10枚だが、合計は15枚で止まる
親 20枚/子A 5枚/子B 10枚子Aは5枚まで。合計15枚(親の20枚に届かない)

⚠️ 子デッキを直接選んだときは、既定では親の上限は効きません。 親の上限も効かせたいときは、デッキオプションの Limits start from top を有効にします。公式の説明では、これを有効にすると「上の階層に設定した上限が、子デッキを選んだときにも適用される」ようになります。

もうひとつの落とし穴は、上限がデッキではなくプリセット(オプションのまとまり)に付いていることです。公式マニュアルによれば、上限は「そのプリセットを使うすべてのデッキ」に効くのが基本で、特定のデッキだけに効かせるには This deck を選びます。デッキを分けても、同じプリセットを使っていれば数字は同じになります。上限がデッキ・プリセット・親子の3か所で組み合わさるのは、Anki が難しいと感じられる理由のひとつでもあります。

何段まで作るか:多くの場合は2段で足りる

Anki では :: を重ねれば、3段目・4段目も作れます。ですが、3段目を作りたくなったら、その分け方はタグに回すのがおすすめです。

理由は、前の節の公式の推奨と同じところにあります。

段何で分けるか例
1段目何を勉強しているか(教材・試験)英語/簿記3級
2段目大きな区分(パート・科目)単語・熟語/仕訳・用語
3段目単元・レッスン・章レッスン3/第2章 ← 公式が「細かい単位」と呼んでいるもの

3段目に来るのは、ほとんどの場合「レッスン3」「第2章」のような単位です。これは公式が「デッキにしない方がよい」と例に挙げている粒度そのものです。

分け方の型:デッキは「教材・試験」、タグは「単元・苦手」

まとめると、デッキとタグは次のように分けると扱いやすくなります。

英語                 ← デッキ(1段目)
├─ 単語              ← デッキ(2段目)
└─ 熟語
簿記3級
├─ 仕訳
└─ 用語

タグ: 第3章 / 苦手 / 直前に見直す  ← 単元や状態はタグで持つ

タグは1枚のカードに何個でも付けられます。デッキは1枚につき1つしか選べないので、「第3章で、しかも苦手」のように重なる分類はタグでしか表せません。単元ごとに見直したいときは、ブラウザでタグを検索すれば、デッキを割らずに絞り込めます。

実装の内側:RepeCa がフォルダの階層を2段で止めた理由

私たちの暗記アプリ RepeCa では、デッキにあたるものを「フォルダ」と呼んでいます。2026年9月に、フォルダの中にフォルダを作れるようにしました。そのとき階層を2段までに制限しました。Anki と違う選択をした理由を書いておきます。

2段なら、同期で「互いを親にする」ぶつかりが起きても壊れない

RepeCa には2台の iPhone の間で同期する機能があります。そのため、1台目で「A を B の中へ」、2台目で「B を A の中へ」という操作が、同期される前に両方起きることがあります。そのまま受け入れると、A と B が互いを親に持つ輪ができてしまいます。

何段でも許す設計だと、同期のたびに木をたどって輪が無いか調べる必要があります。2段までなら、「親になれるのは、いちばん上にいるフォルダだけ」と決められます。この規則なら、親の親を見に行かず、1回の確認で判定できます。

実際の判定は3つの条件だけです。親として指しているフォルダが「存在する」「削除されていない」「それ自身がいちばん上にいる」。どれかを満たさなければ、そのフォルダはいちばん上にいるものとして扱います。上の輪ができた場合も、A も B も3つ目の条件を満たさないので、両方がいちばん上に戻って決着します。

画面では、サブフォルダを持つフォルダを別のフォルダへ入れようとすると押せません。押す前に読めるよう、「サブフォルダを持つフォルダは、ほかのフォルダの中に入れられません(階層は2段までです)。」と表示しています。

新規カードの上限は、親から子へ引き継がない

前の節のとおり、Anki は親と子の上限を組み合わせて使います。RepeCa では、上限は各フォルダが自分の直下のカードぶんだけを持ち、親に設定しても子には効きません。設定画面にも「この枚数は、このフォルダに直接入っているカードにだけ使われます。サブフォルダには、それぞれのフォルダで設定してください。」と書いてあります。

理由は、RepeCa の新規カードの枠が「各フォルダの専用枠の合計 + 共通枠」という足し算で作られているからです。親の枠を子にも効かせると、同じ1枚の新規カードを親と子の両方で数えることになり、この足し算が崩れます。

どちらが正しいという話ではありません。Anki は親子で上限を組み合わせられる柔軟さを、RepeCa は設定どうしが影響し合わない分かりやすさを選んだ、という違いです。

親で学習すると、直下の子のカードも出る

親フォルダで学習すると、親に直接入っているカードに加えて、直下のサブフォルダのカードも出題します。ここは Anki と同じ考え方です。

ただ、フォルダの画面に見えていないカードが出てくると「なぜこの問題が出るのか」と戸惑います。そこで、学習ボタンの下に「単語・熟語のカードも含めて出題します」のように一言を出しています。

親を消しても、中のフォルダは消さない

親フォルダを削除すると、消えるのは親に直接入っているカードだけで、中のサブフォルダはいちばん上へ移ります。うっかり親を消して、中身までまとめて失わないようにするためです。削除の確認にも「中のフォルダ2つはトップに移動します。」と出します。

🔑 2段で足りない使い方もあるはずです。 3段以上で細かく管理したい場合は、Anki の方が向いています。Anki から移る場合の手順はAnki から RepeCa に乗り換えるにまとめています。

まとめ


この記事について

このサイトは、暗記アプリ RepeCa の開発元が運営しています。後半の「実装の内側」は、フォルダの入れ子を実装したときに決めた内容とその理由をそのまま書いたものです(2段に制限した理由/新規カードの上限を引き継がない理由/親で学習したときの出題範囲/削除時の扱い)。作り手の立場で書いているので、その前提で読んでください。

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