Anki は基本的に無料のツールですが、iOS 版だけは有料です。しかも買い切り ¥4,000(2026年8月時点)で、無料トライアルがありません。
「iPhone しか持っていないけど、これを買えば全部できるのか」——払う前に知りたいのはここだと思います。
結論から書きます。暗記学習は完全に完結できますが、学習の準備には制約があります。
まず、何が無料で何が有料か
意外と知られていませんが、お金がかかるのは iOS だけです。
| プラットフォーム | 価格 |
|---|---|
| パソコン版(Windows / Mac / Linux) | 無料 |
| Android 版(AnkiDroid) | 無料 |
| AnkiWeb(ブラウザ・同期) | 無料 |
| iOS 版(AnkiMobile) | ¥4,000 買い切り(2026-08 時点) |
「Anki は高い」という印象は、iPhone ユーザーに限定された話です。Android の人にとっては最初から最後まで無料のツールです。
なぜ iOS だけ有料なのか
同種の暗記系アプリ(RepeCa)の開発者として、ここは公平に言及しておきます。Anki は決してぼったくりではありません。理由は作者自身が公式 FAQ「なぜ AnkiMobile は一般的なアプリより高いのか」に書いています(2026-09-02 確認)。
- AnkiMobile の売上が、Anki 全体の開発資金になっています。パソコン版の開発も、AnkiWeb の同期サーバの運営費も、ここから出ています
- パソコン版はオープンソースで、有志の貢献もあり直接の費用がかかりません(公式サイトは、パソコン版・AnkiDroid・AnkiWeb を無料として案内しています。2026-09-02 確認)
- Android 版(AnkiDroid)は別チーム・別プロジェクトで、歴史的な経緯から無料で開発されています(公式 FAQ は「AnkiDroid の開発者たちは本業を持っていて、空き時間にしか作業できない」と説明しています)
- 開発者にとって iOS 版が主な収入源です
つまり ¥4,000 は「iPhone アプリの代金」というより「エコシステム全体への支払い」に近い性質を持っています。買い切りで、その後の課金もありません。
そう理解すると、20年近く維持されてきたツールの対価としては妥当だと私は思います。
iPhone だけで、何ができて何ができないか
公式の位置づけとしては、AnkiMobile はパソコン版の「相棒」であって、完全な代替としては設計されていません(公式 FAQ は AnkiMobile is not a standalone app - it is intended to be used in conjunction with the online synchronization service and open source computer version と書いています)。とはいえ、実際にできることは多いです。
できること
- 学習(すべての形式のカードを出題・採点できる)
- カードの追加・編集
- AnkiWeb 経由の同期
- テキスト / CSV ファイルの取り込み ← これはできます。知られていませんが、まとめて取り込む道はあります(紙の教材からでも、写真の文字を読み取れば同じ経路に乗ります)
- デッキの設定変更
できないこと(パソコンが要る)
| できないこと | 影響を受ける人 |
|---|---|
| アドオンの利用 | アドオン前提の運用をしている人。アドオンはパソコン版だけの機能 |
| ノートタイプの変更 | カードの構造そのものを作り替えたい人 |
| 画像穴埋めカードの「作成」 | 図やイラストで覚えたい人。※すでにあるものを学習することはできます |
つまり
標準のノートタイプで、テキスト中心のカードを回すなら、iPhone だけで完結します。 アドオン・テンプレート改造・画像穴埋めの作成が要るなら、パソコンが必要です。
多くの人は前者です。ただし医学系などで共有デッキを本格運用する人は、画像穴埋めやアドオンに依存していることが多く、その場合は後者になります。
¥4,000 を払う前に、無料で確かめる方法
トライアルが無いので、買う前に本体を体験しておくのが賢明です。3つ道があります。
① パソコン版を入れる(いちばん確実) Windows / Mac / Linux 版は無料です。同じ Anki そのものなので、操作感・考え方・自分に合うかどうかは、これでほぼ判断できます。パソコンがあるなら、まずこれを試さない理由がありません。
② AnkiWeb(ブラウザ)で使ってみる アカウントを作ればブラウザ上でも学習できます。パソコンが無い人でも、iPhone の Safari から触れます。機能は限られますが、雰囲気は掴めます。
③ Android 端末があるなら AnkiDroid 無料で、モバイルでの使い勝手をそのまま確認できます。
①で「これは自分に合う」と思えてから iOS 版を買う——これが最も失敗しにくい順番です。
判断の目安
| こういう人 | 判断 |
|---|---|
| パソコンがあり、そこでカードを作れる | 買ってよい。iPhone は学習用の相棒として最適 |
| iPhone だけだが、標準のカードで足りる | 買ってよい。ただし①か②で先に試す |
| iPhone だけで、アドオンや画像穴埋めが必要 | 買っても解決しません。パソコンが要ります |
| そもそも Anki の考え方が自分に合うか分からない | まず無料の①②で試す |
まとめ
- 無料なのはパソコン版・Android 版・AnkiWeb。有料は iOS だけ(¥4,000 買い切り・2026-08 時点)
- iOS の売上が Anki 全体の開発と AnkiWeb サーバを支えている。ぼったくりではない
- iPhone だけでも学習・カード追加・編集・同期・テキスト/CSV 取り込みはできる
- アドオン・ノートタイプの変更・画像穴埋めの作成にはパソコンが要る
- トライアルが無いので、無料のパソコン版か AnkiWeb で先に試すのが確実
この記事について
このサイトは、暗記アプリ RepeCa の開発元が運営しています。競合の価格を扱う記事なので、自分たちに不利な事実も書いておきます。
RepeCa は年 ¥4,000 のサブスクです。Anki の iOS 版は ¥4,000 の買い切りです。つまり2年以上使うなら、Anki の方が安くなります。「うちの方が安い」とは言えません。
そのうえで RepeCa を選ぶ理由があるとすれば、無料で試せること(Anki iOS は前払いで、トライアルがありません)と、iPhone だけで完結する前提で作ってあることです。上に書いた「パソコンが要る」場面が最初から存在しません。
多機能さでは Anki に及びません。パソコンで作り込める人には Anki を勧めます。
価格は変わることがあるので、購入前に App Store でご確認ください(本記事の確認日:2026-08-07)。